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ハーグ条約のポイント

- 国境を超えた子供の不法な連れ去りにのみ適用される。
- 父親・母親・子供の国籍は問わない。子供が国境を超えて、不法に連れ去られていれば、日本人同士でも適用される。
- 返還の申し立てだけでは、親権や監護権は決定しない(当事者・代理人の話し合いや裁判所の決定)。
- 日本が条約に参加する2014年より前に発生した事案では、返還命令は適用されない(面会交流は可能)。
- 適用されるのは、連れ去った場所の国、連れ去られた元の国の双方が、ハーグ条約に参加している場合のみ。
1970年代頃から国際的な子の連れ去りが問題視されるようになりました。
これを解決するため、1980年のオランダで「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(通称:ハーグ条約)」が採択されました。
ハーグ条約は、国境を越えた子供の連れ去りは子供の利益に反して、どちらの親が親権を持つかの判断は子供の元の居住国で行われるべきであるとして、元の居住国に子供を返還することを義務付けています。さらに、親と子が国境を隔てて住んでいて面会できない状況を改善するために、親子の面会交流の機会を確保することも支援しています。

国境を越えた親子問題では、制度の理解だけでなく「今、どこで、どのように暮らしているのか」という事実確認が重要です。子どもの所在地を確認、生活実態の把握を通じて、 次の一手を冷静に考えるためのお手伝いをいたします。
条約締結以前は、国際結婚した日本人が自分の子供を日本に連れ去ると、外国に残されたもう一方の親(夫または妻)は子供に会うことができなくなっていました。日本政府が関与して子供の返還を促すこともなかったわけです。
逆に、日本から外国に子供を連れ去られた場合、日本人のあなたは自力で居場所を探し出し、外国の裁判所に返還を訴えなればならない状態だったのです。

統計データとグラフ
ハーグ条約や子どもの連れ去り問題をめぐっては、制度の説明だけでなく実際にどの程度の申請がありどのような結果に至っているのかを把握することが大切です。
2021年 ハーグ国際私法会議で申請件数の内訳
ハーグ国際私法会議の報告では、71の締約国からの回答ベースで合計2,579件の申請が報告されています。 そのうち返還申請は2,180件、交流申請は399件でした。
申請に関与した子どもの人数
同報告によれば返還申請には少なくとも2,771人、交流申請には少なくとも484人の子どもが関与していました。単なる件数ではなく、その背後に多くの子どもの生活基盤が関わっていることが分かります。
返還申請の主な結果(2021年・世界統計)
自主的返還16%と司法判断による返還23%を合わせた、全体返還率は39%とされています。 返還の成否は制度だけでなく、所在確認・監護実態・証拠整理・交渉や裁判手続など複数の要素に左右されます。
外務省アンケートの事案内訳(2011年公表)
外務省が2011年に公表したアンケートでは、回答数64件のうち、子どもを連れ去った事案は18件。連れ去られた事案は19件。子どもを連れての移動制限を受けている事案は27件でした。
ハーグ条約の概要
ハーグ条約の締結国は2017年は96か国、2024年8月時点で103か国です。
2014年に日本も参加して、これらの問題を解決して子供の返還を促す有意義な取り決めです。
ハーグ条約とは?
国境を越えて不法に連れ去られた、または留置された16歳未満の子どもについて、 原則として元の常居所地国へ迅速に返還すること、そして国境を越えた親子交流の機会を確保することを目的とする国際的な枠組みです。日本は2014年4月1日に締約国となっています。
この条約は最終的な親権者を決めるための制度そのものではなく、「どの国の裁判所が、その問題を本来判断すべきか」という前提を整える役割を持っています。 日本では外務省が中央当局として、返還援助申請・交流援助申請の受付、連絡仲介、ADR機関や弁護士紹介制度の案内などを行っています。
返還が検討される基本要件
- 子が16歳未満であること
- 子が日本国内に所在していること
- 常居所地国の法令上、連れ去り・留置が申立人の監護権を侵害していること
- 連れ去りまたは留置の時点で、常居所地国が条約締約国であったこと
裁判所Q&Aでは、返還拒否事由として1年以上の経過と新環境への適応、同意・承諾、子への重大な危険、子の意思なども示されています。
ハーグ条約のメリットとデメリット
メリット
- 一方的な国外連れ去りを抑止しやすい
- 各国の中央当局による支援ルートがある
- 親子交流の機会確保にもつながる
- 国際的な共通ルールとして予見可能性がある
デメリット
- 事情が複雑でも、まず返還の土俵に乗ることがある
- 法律上の正しさと生活上の安心が一致しない場合がある
- 翻訳・証拠整理・手続対応に時間と費用がかかる
- 国内の連れ去り問題には直接適用されない
問題点
所在不明が大きな壁になる
法的手続は、相手方や子どもの所在が見えてこそ進みやすくなります。現実には、親族宅への移動、転居、送達困難などにより、 「どこにいるのか分からない」という段階で立ち止まってしまうことが少なくありません。
子どもの安全確認と証拠化は別問題
法的手続は、相手方や子どもの所在が見えてこそ進みやすくなります。現実には、親族宅への移動、転居、送達困難などにより、 「どこにいるのか分からない」という段階で立ち止まってしまうことが少なくありません。
探偵にできること
今や国際化の時代。外国人と結婚する日本人は、年間2万件を超えています。
しかし国際離婚する件数もかなり多く、年間1万件を超えており、日本人同士のカップルよりも実は離婚率がかなり高いのです。言葉の壁、文化、食事、風習、思想・・・離婚原因はさまざまありますが、離婚時に問題となるのは、やはり「親権」です。
近年、どうしても子供の親権が欲しい親による国境を越えた「子供の連れ去り」が発生しています。
人探し・所在確認の前段整理
SNS、過去住所、親族情報、勤務先情報、時系列などを整理し、調査の精度と効率を高めます。
子どもの所在地調査
日本国内にいる可能性が高いが住所が分からない場合に、旧住所・親族関係・生活圏情報などを基に確認を進めます。
生活実態・監護実態の確認
誰が日常的に養育しているか、一定の住居に継続して居住しているか、学校や園への通いがあるかなどを把握します。
写真・映像等の客観資料収集
日時・場所・状況が分かる形で生活実態の一端を整理し、弁護士相談や今後の説明に活かせる資料化を目指します。
専門家連携のための資料づくり
外務省、弁護士、ADR、家庭裁判所などへ相談する際に、状況説明を整理した基礎資料づくりを支えます。
当社が行わないこと
住居侵入、不正アクセス、違法な盗聴・盗撮、強引な接触や連れ戻しなど、違法・不適切な調査は行いません。
ハーグ条約ってなぁ~に?

ハーグ条約って知ってる?国際的な取り組みで、日本でも締結された条約なんだけど。

ハーグってオランダの首都アムステルダムの南西約50km、北海から約6km離れた平野部に位置している大都市のあの「ハーグ」のこと?

やけに地理に詳しいなぁ。専門家なの?

アメショーだよ。ハーグ条約なんて知らないよ?

簡単にいうと国際的な子供の連れ去りを防ぐことを目的として作られた条約で、国と国同士の約束だよ。オランダの政治都市ハーグで採択されたから、ハーグ条約と言うんだ。

子供の連れ去りって?

例えば、国際結婚した夫婦の仲が悪くなったとする。その時に片方の親がもう一方の親の同意を得ずに子供を外国に連れて行ってしまうことを「子供の連れ去り」と言うんだよ。もしいきなり親に外国へ連れていかれたらどう思う?

楽しそうじゃない。海外に行ってみたかったんだ。

旅行として行くなら楽しいけど、ずっとそこで暮らすとなるとどう?

それはイヤだな。友達に会えないし、学校も行けなくなるもんね。
言葉も変わるの?ぼく英語なんて話せないよ・・・

そうだよね。子供の連れ去りは、子供にとって不利益なことも多いんだ。
だから、国と国同士でそれを防ごうという取り決めをしたんだよ。それが「ハーグ条約」なんだ。片一方の親の要請があれば、連れ去られた子供を元の国に戻すように締結国は協力しなければいけないんだよ。

でも、子供が返還されない場合があることも知っているかな?

にゃ、にゃにぃー!
子供が返還されない理由
子供の返還を促すハーグ条約ですが、子供の返還を命じてはならないという拒否できる理由があります。

住んでいた国に帰ることで、子供の心身に害悪が及ぶ危険があるときには返還が拒否されます。例えば、アメリカ人のお父さんが暴力をふるって、日本人のお母さんが身の危険を感じて子供と一緒に母国(日本)へ帰った場合です。
子供に危険があるからハーグ条約は行使されません。でも訴えを起こした(この場合)アメリカの裁判所で今後の方針が決定されることがあります。
【返還を拒否できる理由】
- 連れ去られて1年以上経過した後に裁判所に申告されたが、子が新たな環境に対応している。
- 申立人が子の連れ去りが起きた時点に、現実に監護の権利を行使していなかった(連れ去りがなければ、申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く)。
- 申立人が連れ去りの前にこれに同意し、又は事後に承諾した。
- 元の居住国に返還することで、子の心身に害悪を及ぼす、その他耐え難い状況に置くこととなる重大な危険がある。
- 子の年齢が意見を考慮するのに適当な場合に、子が元の居住国に返還されることを拒否している。
- 元の居住国に子を返還することが人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められない場合。
※1・2・3・5は裁判所の判断により認められないケースがある。
ハーグ条約が適用された事例とは?
2014年10月。日本人の母親と日本で暮らしていた5歳の子供が、子供の元の居住国であるドイツに父親によって連れ戻された。
この5歳児は父親がドイツ人で、親子はドイツで生活をしていました。母親が父親に無断で子供を日本に連れ帰ってしまったという。取り残された父親は、ドイツ政府にハーグ条約に基いて子供の返還を求めました。ドイツ政府から日本の外務省に援助要請があり、外務省が日本にいる母親に接触して交渉を開始。話し合いを経て、母親が子供の返還に同意して、母親と子供はドイツへ戻りました。
日本で2014年4月にハーグ条約が発効して以降、日本にいる子供が海外へ返還された初の事例である。

2014年7月。母親が日本からイギリスに連れていった子供にハーグ条約が適用された。
日本人同士の夫婦は別居中であったが、母親が7歳の子供をイギリスに連れて渡り、そのまま帰国しなかったため、父親がハーグ条約に基いて子供の返還を求めた。
イギリス政府は父親への支援を決定して、イギリスの裁判所は「約束した期間を超えてイギリスに滞在させるのは違法な状態」と判断して子供を日本へ連れ帰るよう命じました。海外にいる子供が日本へ返還された初の事例である。

よくあるご質問
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ハーグ条約の対象となる子の年齢は何歳ですか?
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16歳未満の子供が対象となります。
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外国人の夫が日本から夫の国へ子供を連れ去ってしまった、どうしたら良い?
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外務省が窓口となります。子供が連れ去られた国がハーグ条約締結国であれば、子供を日本へ返還するための支援や面会交流を実現させるための支援を日本や海外の中央当局(外務省)に対して申請することができます。
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ハーグ条約はどんなケースで関係しますか?
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一方の親の同意なく、子どもを元の常居所地国から国外へ移動させた場合や、一時帰国後に約束どおり戻さない場合などに問題となります。
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日本人同士でも関係しますか?
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はい。外務省は、日本人と外国人の間の国際結婚・離婚に伴うケースに限らず、日本人同士の場合も対象となり得ると案内しています。
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子どもが日本にいるか分からない場合でも相談できますか?
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はい。所在が不明な段階だからこそ、調査の必要性が高まる場合があります。まずはお手元の情報を整理し、調査可能性を検討することが大切です。
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Q. 返還申立ては早い方がよいのでしょうか?
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裁判所のQ&Aでは、連れ去り・留置から1年以上経過し、子が新しい環境に適応している場合は返還拒否事由になり得るとされています。早めの相談が重要です。
オハラ調査事務所では、これまでにも海外から依頼を受けてハーグ条約に関する事案で子供の居場所を突き止めて解決に尽力させていただいております。中には、お客さまご自身で「子供が行方不明で探している」とWEBサイトを立ち上げて探される方もいらっしゃいます。今どこにいるのか、元気でいるのか。
まずはご相談ください。

