共同親権制度で離婚後の親権は?オンライン離婚調停サービスの便利さも

日本では離婚の約9割が「協議離婚」を占める割合です。
つまり、離婚した夫婦の約9組に1組しか家庭裁判所を利用していない統計となります。

2026年4月、日本の家族法に大きな転換点が訪れます。
これまで離婚後は父母どちらか一方しか親権を持てなかった日本において、ついに「共同親権」が選択できるようになるのです。

同時に、スマートフォンひとつで離婚調停が完結する民間のオンライン調停サービスも登場しており、離婚をめぐる手続きそのものが大きく変わろうとしています。今回は、共同親権制度の基本、オンライン離婚調停サービスとの違い、共同親権時代に予想されるトラブルと探偵の調査がどのように役立つのかまで解説します。

「共同親権制度」とは?

共同親権とは、離婚後も父母双方が共同で子の親権を持つ制度です。
親権とは、未成年の子どもを監護・養育し、財産を管理し、子に代わって法律行為を行う権利と義務の総称です。

共同親権が選択された場合、進学先の決定や手術などの重要な医療判断、転居や宗教教育といった子の人生に大きく関わる事項について、父母双方の合意が必要となります。

日本ではこれまで、離婚すると父母のどちらか一方しか親権を持てない「単独親権」が採用されてきました。
しかし離婚後に親権を失った親と子どもの関係が途絶えてしまうケースも多く、養育費の不払い問題や面会交流の途絶など、子どもの福祉を損なう事例が社会問題化していました。

子どもにとって離婚後も両親と関わり続けられる環境を整えることを目的に、2024年5月に改正民法が成立して2026年4月1日から施行されることとなったのです。それが「共同親権制度」です。

海外では一般的な制度

共同親権はすでにG20諸国の大半で導入されている世界標準の制度です。
アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国などでは、離婚後も共同親権が原則とされています。
例えばフランスでは、婚姻関係の有無にかかわらず父母双方の共同親権が維持されることが基本で、アメリカの多くの州では離婚時に「養育計画書(Parenting Plan)」の提出が義務付けられています。

親権制度の種類と違いは?

日本の従来制度は単独親権で、明治民法以来、戦後の現行民法に至るまで一貫して離婚後は単独親権が採用されてきました。
これはG7の中でも極めて珍しい制度であり、長年にわたり「国連子どもの権利委員会」などから見直しを勧告されてきた経緯があります。

制度内容採用国の例
単独親権父母のどちらか一方のみが親権を持つ改正前の日本、トルコ、インドなど
共同親権
(法的共同監護)
重要事項の決定権を父母双方が共同で行使アメリカ多数州、ドイツ、フランス、韓国など
共同身上監護
(きょうどしんじょうかんご)
日常的な養育も父母で分担(時間配分も明示)スウェーデン、ベルギーなど一部の国

単独親権のメリット・デメリット

単独親権のメリット

  • 親権者の判断で迅速に意思決定ができる
  • DV被害者などが加害者から物理的、心理的に距離を取れる
  • 養育の責任が明確になる

単独親権のデメリット

  • 非親権者と子の関係が希薄になりやすい
  • 養育費不払いが起こりやすい
  • 非親権者の養育への関与意欲が低下しがち

共同親権のメリット・デメリット

共同親権のメリット

  • 子どもが離婚後も両親と関わり続けられ、心理的安定が得られやすい
  • 養育費の支払い率向上が期待できる
  • 子の重要事項について双方が責任を持って関与できる

共同親権のデメリット

  • 重要な決定のたびに双方の合意が必要で意思決定が遅れがち
  • DVやモラハラ事案では加害者と関わり続けるリスクがある
  • 父母の対立が続くと子が板挟みになりやすい

共同親権と単独親権の比較表

比較項目単独親権(従来)共同親権(2026年4月以降)
親権者の人数1人2人(父母双方)
進学・医療の重要決定親権者単独で決定可父母双方の合意が原則必要
日常的な養育の判断親権者が決定監護親が決定可(急迫の事情あり)
養育費の支払い義務非親権者にあり双方にあり(法定養育費制度導入)
面会交流(親子交流)取り決めに基づき実施双方の関与がより重視される
選択方法自動的に一方に決定協議または家裁の判断で選択
既存の離婚への適用親権者変更調停で移行可能

これまでの離婚の方法(協議・調停・裁判)

共同親権の導入を理解するうえで、日本の離婚手続きの基本も押さえておきましょう。
日本における離婚は、大きく分けて以下の3種類があります。

協議離婚

夫婦の話し合いだけで離婚届を提出する方法で、日本の離婚全体の約9割を占めるもっとも一般的な形態です。
役所に離婚届を提出するだけで成立しますが、親権・養育費・面会交流・財産分与などの取り決めが曖昧なまま離婚してしまうケースも多く、後々のトラブルにつながりやすいという課題があります。

調停離婚

協議で合意に至らない場合、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てます。
調停委員2名が双方の主張を聞きながら合意形成を仲介し、合意に至れば調停調書が作成されます。調停調書には判決と同等の効力があり、養育費未払い時には強制執行も可能です。

裁判離婚

調停でも合意に至らない場合、家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。
定離婚事由(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復見込みのない強度の精神病、その他婚姻を継続し難い重大な事由)が必要であり、判決によって離婚が認められます。

(人)

30万人

15万人

2002年

約29万組(過去最多)

2010年

約25万組

2020年

約19.3万組

2023年

約18.4万組

2024年

約18万組前後

※離婚件数そのものは減少傾向だが、婚姻件数も大幅に減少している

各離婚方法の比較表

比較項目協議離婚調停離婚裁判離婚
手続き場所役所への届出のみ家庭裁判所家庭裁判所
第三者の関与なし調停委員・裁判官裁判官
期間数日〜数週間半年〜1年程度1〜2年以上
費用ほぼ無料数千円〜(弁護士費用別)数十万円〜数百万円
法定離婚事由不要不要必要
合意の必要性双方合意必須双方合意必須不要(判決)
強制力公正証書化で執行可調停調書で執行可判決で執行可
メリット早い・安い・自由中立的な第三者が関与強制的に決着できる
デメリット取り決め不備が多い時間がかかる費用・期間が膨大

オンライン離婚調停サービスとは?

こうした従来の離婚手続きに対し、近年急速に注目を集めているのが民間のオンライン離婚調停サービスです。
これは法務大臣認証のADR(裁判外紛争解決手続)をスマートフォン上で完結できるよう最適化したサービスで、離婚の申立てから争点の整理、調停人(弁護士といった専門家)とのオンライン面談、合意書作成までを相手と顔を合わせることなく進められるのが特徴です。

オンライン離婚調停サービスのメリット

  • 裁判所に出向く必要がない
    移動時間や仕事を休む必要がなく、自宅から手続き可能
  • 相手と顔を合わせずに済む
    DVやモラハラ被害者にとって心理的負担が大幅軽減
  • 短期間で解決可能
    最短1か月程度で合意成立に至るケースも
  • 費用が安い
    18万円〜程度のパッケージ料金で、弁護士に個別依頼するより安価
  • 専門家(弁護士など)が調停人として関与
    合意内容の法的妥当性が担保される
  • スマートフォンのみで完結
    パソコンが苦手な方でも利用しやすい

オンライン離婚調停サービスのデメリット

  • 双方の合意が必要
    相手が利用に応じなければ成立しない
  • 強制力に限界がある
    合意書を別途公正証書化する必要がある場合も
  • 複雑な争点には不向き
    財産分与が極めて複雑な場合や、激しい対立がある場合は裁判所が適切
  • 対象事案が限定的
    DVや虐待など緊急性の高い事案には不向き

従来制度との比較

比較項目家庭裁判所のウェブ調停民間オンライン調停(wakaiなど)
運営主体家庭裁判所(公的機関)法務大臣認証ADR機関(民間)
対応デバイスPC・タブレット中心スマートフォンで完結
申立て方法裁判所への書面・オンライン申立アプリ/Webから申込
調停成立時の出頭2025年3月1日からウェブで成立可能に完全オンライン
第三者調停委員・裁判官弁護士などの調停人
費用数千円+弁護士費用パッケージ約18万円〜
所要期間半年〜1年程度最短1か月〜
強制執行力調停調書で可合意書を公正証書化などの手続必要
共同親権対応制度施行に合わせ運用共同親権対応機能を先行実装

2025年3月1日からは、家庭裁判所においても離婚・離縁の調停をウェブ会議で成立させることが可能となりました。これにより、これまで成立時には必ず裁判所に出頭する必要があった点が改善されてDV被害者などにとって大きな前進となっています。

ただし、家庭裁判所のウェブ調停はあくまで既存の調停制度のデジタル化であるのに対し、民間のオンライン離婚調停サービスはADR(裁判外紛争解決手続)を活用した別ルートの仕組みである点が本質的な違いです。スマホ完結・短期間・明朗会計という点で、民間サービスは特に若い世代をはじめとしてサービスの認知や支持が広がっています。

共同親権時代に増える可能性のあるトラブル

共同親権の導入は子の福祉向上を目的としたものですが、一方で新たなトラブルの種を生む可能性も指摘されています。

共同親権下では、面会交流(親子交流)はこれまで以上に重要視されます。
しかし、「約束した日に子を会わせてもらえない」「面会のたびに相手の悪口を吹き込まれる」「面会場所を一方的に変更される」といった面会交流妨害のトラブルが発生しやすくなります。

改正民法では「法定養育費制度」が新設され、取り決めがなくても一定額の養育費請求が可能になります。
しかし依然として、「支払い能力がないと偽って減額を求める」「勤務先を秘匿して差押えを逃れる」「再婚を理由に減額を要求してくる」といったトラブルは後を絶ちません。

共同親権下では、一方の親が他方の同意なく子を連れ去る行為は重大な問題となります。海外では「実子誘拐」として刑事罰の対象となる国も多く、ハーグ条約による国際的な返還手続きの対象にもなります。
日本でも、共同親権導入により親権者変更や監護権をめぐる紛争が増加すると予想されています。

離婚後にどちらかが再婚したり、新しいパートナーと同居を始めたりするときには「同居相手が子に虐待をしている疑いがある」「反社会的勢力との関わりがある人物と同居している」「子の養育環境として不適切な相手である」といった問題が浮上することがあります。
共同親権下では、こうした事情は親権者変更の重要な判断材料となります。

探偵が関与するケースとは?

共同親権時代には、客観的な事実を証拠化する必要性がこれまで以上に高まります。
ここで探偵社の調査が大きな役割を果たします。

「収入がない」「失業した」と主張して養育費の支払いを拒む元配偶者に対し、勤務先確認調査や生活実態調査を行うことで、実際の就労状況や生活水準を客観的に把握できます。
高級車に乗り、頻繁に外食している様子が確認できれば、支払い能力があることの有力な証拠となり、調停や審判の場で大きな効果を発揮します。

子が連れ去られた、あるいは連絡が取れなくなったといったケースでは、人探し調査により所在を特定します。
共同親権下では、無断で子を連れて転居する行為は親権者変更の理由ともなりうるため、所在確認と現在の養育環境の把握は極めて重要です。

元配偶者の再婚相手や同居人について、経歴・前科・反社チェック・素行などを調査する信用調査も増えています。
子の福祉を守るうえで、養育環境にどのような大人が関わっているかを把握することは、共同親権者として当然の権利でもあります。

共同親権制度とオンライン調停サービスの今後

【制度改正によって期待されること】

  • 子の福祉の向上
    両親が継続的に子の養育に関与することで、心理的安定や経済的支援が充実
  • 養育費支払い率の向上
    法定養育費制度との相乗効果で未払い問題の改善が期待される
  • 離婚紛争の長期化抑制
    オンライン調停の普及で迅速な解決が促進
  • 国際標準への適合
    ハーグ条約などの国際的枠組みとの整合性向上
  • デジタル化による司法アクセス向上
    地方在住者や障がい者なども利用しやすく

【一方で残る課題】

  • DVや虐待事案への配慮
    加害者との関わりを強制される危険性への十分な制度的歯止めが必要
  • 共同決定の実務的難しさ
    日常的な意思決定の遅延リスク
  • 司法インフラの整備
    家裁の人員・体制が追いつくか
  • 国民への周知不足
    制度を正しく理解しないまま選択するリスク
  • オンライン調停の強制力の限界
    合意後の履行確保の仕組みづくりが必要

まとめ

2026年4月の共同親権制度施行と、民間オンライン離婚調停サービスの登場は、日本の離婚と子の養育のあり方を大きく変える歴史的な転換点です。
共同親権は、離婚後も子どもが両親と関わり続けられる環境を整える画期的な制度である一方、面会交流妨害・養育費未払い・子どもの連れ去り・再婚相手をめぐる問題など、新たなトラブルの火種も内包しています。

スマートフォンで完結するオンライン調停サービスは、こうした紛争をより迅速かつ低コストで解決する手段として期待されますが、すべてのケースに万能というわけではありません。事案の性質によっては、家庭裁判所の調停・審判・訴訟が適切な場合もありますし、何より「事実を客観的に把握する」ことなしには、いかなる手続きも実効性を欠きます。

私たち探偵社は、養育費の支払い能力調査、子どもの居所確認、再婚相手の信用調査など、共同親権時代に必要となる「客観的事実の証拠化」を調べる調査も得意としています。離婚に際する不倫・浮気調査、子どもの所在調査、再婚相手の信用調査なども可能です。離婚後の親権をめぐる不安や、お子さまの安全に関するご懸念がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。新しい時代の「親としての権利」を守るために全力でサポートいたします。