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3.162016
恋人のスマホを勝手に見ていませんか?メールやSNSの盗み見は不正アクセス禁止法
最近、なんだか恋人の行動があやしい。
そんなとき、ついつい相手が寝ている間にスマホでこっそりメールをチェック、またあの娘からメールがきてる・・・チッ。
なんてしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。しかしその行動、もしかしたらあなたが思っている以上に危険なことかもしれません!
恋人のメールを盗み見ることは違法?
他人のスマートフォンを盗み見ることは「プライバシーの侵害」に該当する可能性があります。
プライバシー侵害にあたる要件は、
① 私生活上のこと
② 一般に公開されたくないこと
③ いまだ一般に知られていないこと、です。
スマートフォンの待ち受け画面を見る程度なら該当する可能性は低いですが、メールとなると該当する可能性は高いといえます。プライバシーの侵害をして刑罰に処されることはありませんが、民事上で損害賠償を請求される可能性があります。
勝手に恋人のメールやLINE、SNSを見ると刑事罰に処されることもあります。他人のスマートフォン内部に保存されたメールを見るだけでは、刑事罰に処されることはありません。
しかし、GmailやYahoo!メールのようにインターネット上に保存されているメールを見てしまうと話は別です。他人のスマートフォンを勝手に操作して、ネットワークを介してメールを見た場合には「不正アクセス禁止法」に抵触する可能性があります。
「不正アクセス」行為を簡単に言うと、
① ネットワーク経由で
② アクセス制御機能のあるコンピュータに対し
③ 他人のパスワードや生体認証を用い
④ 権限外のアクセスを行うこと、です。
スマートフォン内部に保存されているメールを見る場合と何が違うかというと、Gmail等のネットワーク上にデータが保存されているものを見る場合には、ネットワークを介してアクセス(ログイン)しなくてはなりません。この行為が上記の要件に該当してしまうのです。
自動ログインでパスワードを入力しなくてもよい場合は?
不正アクセス禁止法では、IDやパスワードを入力して、ネットワークに情報を送信する行為を禁止しています。
この「入力して」というのは、IDやパスワードを画面上に入力することではなく、ネットワークを通じてIDやパスワードの情報を「送信」することを意味している為、常時ログインの状態になっているアプリ等を無断で開くことも禁止されている行為に該当し得ます。
では、スマホのロック画面の解除はどうなるのでしょうか?
最近は指紋認証でロックしている人もいるようですが、巷では本人が寝ているうちに指を勝手に押しつけて・・・なんて話も。このようにスマホのロック自体を勝手に解除することは「不正アクセス」に該当するのでしょうか。ポイントは「ネットワーク経由で」というところです。
そもそもこの法律の目的は、ネットワークを通じて行われるコンピュータ犯罪の防止、アクセス制御機能により実現されるネットワークの秩序の維持、上記をもって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することとなります。
そのため、スマホのロックを解除するのにネットワークを介することはありませんから、不正アクセス禁止法には該当しません。ただしプライバシー侵害には注意が必要です。
それでも浮気が気になるというあなたに
相手のメールを勝手に見る行為は、違法性が認められる可能性が高いです。
しかし、婚姻関係にある場合は絶対にダメとも言い切れません。婚姻関係にある場合、夫婦には貞操(ていそう)義務があります。もし相手に不審なところがあったが為に、メールを勝手に見てしまったという人を一概に非難することはできません。また、法律には「法は家庭に入らず」なんて言葉があるように民事不介入といった一面の思想もあります。その為、家庭内のことであれば多少多めに見てもらえる可能性があるのです。
もし不倫が原因で裁判になった場合、通常裁判では違法に入手した証拠は採用されませんが、配偶者のメール等の記録であった場合には採用されることは多いのが現状です。貞操義務違反と比較して考慮されるのですね。
しかし、夫婦だからといって何でも許される訳ではありませんので注意が必要です。実際に離婚協議中の妻のインターネットメールを200回近く不正にアクセスして見た男性が逮捕されるケースもありました。
気になって気になって仕方がない、でもいくら気になっても、メールの盗み見はしないように(ほどほどに)しましょう。